第3のリハ・遍満編
電車から降りて、トイレに向かった。
車内で読んだ
【たゆたえども沈まず】原田マハ著
自分の身上に置き換えて、
切なさの欠片が生まれかけた。
鏡で髪を整えた。
皮膚の乾きと表情のなさに
今更ながら気が付いた。
晴れない気分のまま、
駅に隣接する大型書店に入った。
文庫本が並んだ本棚を
眺めながらゆっくり歩行。
知ってる人間に出会った。何年振りか。
同級生だから同い年のはず。
なんで、こいつは艶々してるんだ。
笑顔満載の表情じゃぁないか。
じゃあな、とすれ違って
歩いていく後姿を目で追った。
背中がスッキリとして
歩幅広く歩く姿に嫉妬心。
思わず追いかけて、理由を聞いた。
持っていた文庫本に
挟んである栞を差し出された。
「それだよ。」の一言。

栞を見てから、三ヶ月が過ぎた。
最近、職場の同僚達に変わったなぁと、
よく言われる。
鏡の中の自分を見るのが、恥ずかしくなくなった。
通勤で歩くのも苦ではなくなった。
もう少ししたら、ゴルフも再開してみよう。
スコアアップの為の練習プログラムもある。
時々ここでも一緒になる
書店で会った同級生に感謝。
貰った栞は、くじけないためのお守りに。
これからも末永く付き添って、「to be~.」